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「ロボットのような人」といわれたことはありませんか。アスペルガー症候群などの発達障害の方の多くは感情
表現が苦手だと申し上げていますが、似ているようですが別の概念で使用されている言葉もあります。それがア
レキシサイミア(失感情症)です。
アレキシサイミアとアレキシソミアいう言葉をご存知でしょうか。和訳すれば、アレキシサイミア=失感情症・
アレキシソミアは失体感症となります。
アレキシサイミアは、さまざまな原因によって自分の感情に鈍感になってしまい、自分の気持ちを感じたり、
言葉で表現することが難しくなることをいいます。
最初にそのことを発見したのはアメリカの精神科医で、心身症の方に「何がつらいですか」と聞いたときに、
「別に」や「特に」というような返事が帰ってくることがあり、このような返答をするタイプの方には従来の
分析的な心理療法が行いにくいことなどから、別のアプローチが必要であると考えられました。
もう少し簡潔に説明すると「つらい」という表現が理解できない、「今の状態」=「つらい」という関連付け
を脳内で行うことができないということでしょうか。
アレキシサイミアの具体的な症状は
★自分自身の感情や、身体の感覚に気づくことが難しい。
★自己の内面へ眼を向けることが苦手。
★感情を表現することが難しい。(感情がないのではありません)
などがあげられます。原因ははっきりしていませんが、右大脳半球で何らかの機能障害があるという説もあり
ます。
アレキシソミアは自分の「身体の痛み」「しんどい」などの感覚に気づくことが難しくなることを指します。
アレキシサイミアの状況が長く続くと、今度はストレスが無い状態のことを忘れてしまい、ストレスがかかっ
た状態が普通となってしまうことがあります。「つらい、悲しい」という感情がうまく吐き出せずに自分の中
(脳内)にとどまってしまい、感情が出ない状態になります。
感情がないわけではありませんから、あまりに押し込められた感情は身体的な症状となって表出する場合があ
ります。頭痛・不眠・よく分からない痛み・しびれ・めまいなどです。病院に行って脳波やCT・MRIなど
の検査を受けても多くの場合異常は出ません。
ケガをした場合なども同様です。あまりに感覚がマヒしていて、痛みを感じないケースも報告されています。
このように、自分の身体にもかかわらず、異常に気づきにくい、自分のからだと向き合えない、という傾向を
アレキシソミアと呼んでいます。自分の身体と向き合えないのですから、かなり深刻だと考えてください。
「特に問題ありません」「フツウです」としか説明できない身体症状が続いている人達の背景に、このような
状況が隠されていることがあります。このような場合は、少しでも感情を表出できるように改善を図ることが
大切になってきます。
アレキシサイミアと同じ症状は、アスペルガーなど発達障害の方にも多くあるようです。山手心理相談室では、
神経系統に医学的な問題がない場合は感情表現能力を強化することで対応させていただいています。