スピリチュアル的な考え方を除外すれば、子供は親を選んで生まれてくることはできません。どれほ
ど平和な国の幸せな家族に生まれたかったとしても、そう簡単にはいかないのです。
同じように、アダルトチルドレン(AC)は自分がなりたくてなるわけではありませんし、なりたい
と思った場合でもできないことも多いです。自分が原因というはまずあり得ません。両親をはじめ、
幼少期に育った環境が問題の大半を担うことになります。
自分に原因がない為に幼少期には自覚が難しく、またある程度の年齢になって自覚ができたとしても、
改善方法、回復方法が見つからないというのが大きな悩みの種でもあります。
では、アダルトチルドレンは回復不能の病気なのでしょうか。他のページでも述べていますが、アダ
ルトチルドレンは病名ではないですから、精神科や心療内科で
「アダルトチルドレンだから診察してください」
といったところで、医学的見地からうつや不安症・パーソナリティ障害などの疾患を発生していない
場合は対応してもらえません。
ところが、実際には子供の頃に染み付いた心的外傷や人格は、簡単に改善できるものではありません。
こころの傷はカウンセリングや認知療法・催眠療法・医療によって回復しなければなりませんし、得
ることができなかったスキル(特にコミュニケーションや社会性)はSSTで基本から対応する必要
があります。
回復への道は、かなり困難なように思えますが、発達障害や神経・脳の疾病が絡んでいなければ、努
力に応じて失われたものは伸びてきます。決して不可能な事ではありません。
カウンセリングやSSTを考える場合、前提として、
アダルトチルドレン(AC)にも程度がある
という事を考慮する必要があります。身体の病気、たとえばがん(悪性新生物)であったとしても、
ステージT(初期のがん)くらいなら現代では十分回復可能になるのと同様、アダルトチルドレンに
も
1.自分が生きていきにくいとテスト(ネットなど)で判断した。
2.他者を傷付けて周囲に多大な損害を与えている。
まで相当な幅が存在しています。回復可能かどうか、あるいは回復までの時間や方法などは「病気か
気分か」によって大きく変わってきます。
アダルトチルドレンの改善には過去を見つめることと並行して現状の改善を図っていく必要がありま
す。幼少期に原因があるとはいえ、アダルトチルドレンの多くは現状にも多くの問題を抱えています。
現在・未来と過去は時間軸と精神軸どちらもリンクしています。アダルトチルドレンを「成育歴」と
考えるカウンセラーが合う場合もありますが、やはりこれからの人生を過ごすためには改善も重要な
ファクターだと思います。