最近よくマスコミなどで報道されているPTSD(外傷後ストレス障害)ですが、実際にはどのよう
なものか理解されている方は少ないのではないでしょうか。
たとえば、幼いころワンちゃんに手をかまれた・料理を作っているときにうっかり包丁で手を切った・
バイクが衝突してケガをしたなどという場合、しばらくの間は、現場に行ったり、犬を見たり、料理
を作る際などに当時の感触や情景・痛みを思い出すでしょうし、傷が深く、痛みが強いほどそれらの
状況に対する嫌悪感は増し、なかにはしばらく外出できない・動物に触れることができない・包丁が
もてない・という方もいらっしゃいます。
また、最近多いのがブラック企業など職場におけるイジメ等によって、会社のことを考えるだけで苦
しくなってしまうというケースも増えています。また、配偶者の暴力や不倫によって、夫が近くに来
るだけで身体が震えるといった症状も多くなっています。
これらは、身体的な傷が軽い場合にはトラウマ(心理的な外傷)と呼ばれる現象で、時間の経過とと
もに軽くなりますし、元のように行動することも可能になります。
しかし、生死にかかわるような状況(自然災害、テロ、戦争、事故など)に遭遇する、ひどいいじめ
や虐待・犯罪被害、飛び降り自殺、殺人などの場面を目撃するといったショッキングな体験のをする
と、トラウマは簡単に消えることはありません。
そうした体験のあと、下記のような3つの症状がPTSDの基本的症状であり、これらの症状が出来事の
後1ヶ月以上持続している場合にはPTSD、1ヶ月未満の場合にはASD(急性ストレス障害)とDSM
−IV−TRでは診断されます。体験した出来事が悲惨なものであればあるほど、それは長く苦しい
ものになります。
★精神的不安定による不安・不眠などの過覚醒症状。
★トラウマ(PTSD)の原因になった事件、関連する事象に対する回避傾向。
★事故・事件・犯罪の目撃体験等の一部や、全体に関わるフラッシュバック。(追体験)
また、生命の危険にさらされるような事件ではありませんが、離婚、失業、親しい人の死・裏切り・
左遷などを体験したあとにうつ状態、焦燥感、喪失感、不安、イライラといったうつ症状が重なって
現われることもあります。
症状への対応はカウンセリング単独では難しい場合も多いですが、服薬と平行しながらじっくりと向
き合うことが重要です。