日本語で言うところの「不安」や「恐怖」は元をただせば「怖い」ということを日本語独特の表現で使
い分けているものです。
一般的には
「恐怖」⇔具体的な対象(犬・ゴキブリ・広場・人ごみ・繁華街・墓場・閉所等)
「不安」⇔漠然としたもの(何だか正体不明のもの)
を指しています。このうち「恐怖症」とは、特定のある一つのもの(狭い場所・広場・異性・飛行
機・高いところなど)に対して、心理学的および生理学的に異常な拒絶反応を起こす症状で、精神
疾患に該当します。
よくある恐怖症としては、
対人恐怖症・社会恐怖症・放射能恐怖症・視線恐怖症・閉所恐怖症・動物恐怖症・先端恐怖症・赤面
恐怖症・男性(女性)恐怖症・電車恐怖症・単一恐怖症・高所恐怖症などがあります。
よく言われる「虫が怖い」「イヌが怖い」「雷が怖い」という事例は単一恐怖に分類されています。
単一恐怖症のうち、簡単なもの(恐怖が浅い場合)は催眠療法が効果的ですが、催眠で痛みを我慢す
ることができないのと同様、本質的に怖いものは改善できません。時間はかかりますが、その原因を
探り、認知療法や暴露療法・SSTなどで訓練するのが基本でしょう。
(「恐怖」の本体は人の脳が発する指令ですから、簡単に改善できるものではありません)
恐怖症の原因と改善
恐怖症の原因としては、子供の頃の失敗から感じる恐怖や、偶然に経験したことがらがきっかけとな
る場合と原因不明のものがあります。
改善については、主として服薬と認知行動療法により対応します。単一恐怖のうち、恐怖の状況を簡
単に作り出せるもの(高所、暗所などの場所由来のものや特定の動植物など)については、患者をそ
の状況の中に長時間おいて恐怖に慣れさせること(暴露療法)によってある程度改善可能とされてい
ますが、もっと効果的な手段としては「恐怖の対象に接近しないこと」でしょうか。
ただし、たとえば閉所恐怖の方に「トイレに近づくな」といっても無理な話ですから、山手心理では
上記の通り認知療法とSSTを組み合わせて改善を図っています。
自律訓練法や催眠療法も使用される場合がありますが、ごく簡単な程度(いわゆる「怖がり」と大差
ないレベルのものには効果的と思われます。
発達障害の方が恐怖症をお持ちの場合もあります。双方に関連するSSTと認知療法をミックスする
ことで軽減を図ります。