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山手心理相談室にはカサンドラ症候群(ご家族にアスペルガー症候群などの方がおられるパートナーの方)が
たくさんお見えです。親戚さえわかってくれないとお悩みの方は、ぜひ一度お越しください。対象はご家族が
アスペルガーという方だけでなく、境界性パーソナチティ障害などさまざまな問題を抱えるご家族の方のお悩
みに対応しています。(パーソナリティ障害の方ご本人の治療は専門施設をお訪ねください)
カウンセリングを行う立場からすると、避けて通れないのがこの「境界性パーソナリティ障害」です。
症状の中心となるものは、著しく不安定な思考やほとんど社会性を考慮しない感情・行動およびそれに
伴うコミュニケーションの障害です。一般的にはボーダーとも呼ばれます。
ある事象発生(これが難しいです。髪の毛が落ちていた・ということでも発生します)
↓
通常の方なら「考える」(気にしなくてもいいなど)の場面で、突然「怒り」や「悲しみ」などの感情
が(本能的に)出てきます。
↓
自分の脳内ではコントロール不能になり、これも本能的に「人に寄りかかって」対応しようとします。
↓
感情が制御できず、また他罰傾向が顕著なために本来なら助けてくれる方との関係さえうまく行かない。
↓
人が自分を敬遠する(自分の行動が原因だとは思いません)気配を感じてさらにパニックになります。
↓
自分を完全に見失います。
↓
周囲から見て異常な行動(マンションの屋上に立つ・線路に寝転がるなど)自殺を予想させるなどの行動
が発生します。
↓
何とか救出され、やがて脳の興奮が収まってくると自分の行動に関して強烈な嫌悪感を抱きます。
このように、ちょっとしたストレスがあると衝動的行動(自分の地位や立場を忘れてしまう)、自己都合
白黒思考(自分が取り上げたい問題のみをすべてダメ出ししてしまう)、対人関係の障害(露骨に出る
敵意と攻撃性)、慢性的な空虚感(相手が何を言っても受け入れない)、自殺顕示行動(死ぬ気はないが
死ぬふりをする)などが表面化します。
この言葉は、以前「神経症」と「統合失調症」という2つの心の病気の境界にある症状を示す用語だった
のですが、最近ではあまり意味を持たないようです。感情処理能力と論理性がともに弱いという傾向があ
ります。
実際の症状として、神経症単独の不安感の場合は、不安が「今の症状に関わることだけに限定している」
ことを論理的に判断できるために、不安は極端に大きくなりにくいのですが、論理能力の乏しい境界性
パーソナリティ障害の方だと、いつ不安が終わるのかが理解できにくいために長期化・極大化する傾向が
あります。
この不安感は、他人からみればとるに足らない理由でパニックが発生するために、周囲に恐怖感が起こる
ケースも多いのです。進展すると実際の自傷行為や薬物・アルコール依存や自殺企図などの自己破壊行動
などが表出してくることもあり、家族や職場などにも大きな影響を与えることになります。
極大化した不安(怒り)はやがて時の経過とともにおさまってきますが、感情のコントロールも弱いため
に、気持ちがおさまった後では渦中の行為を反省し、後悔の念が激しく襲ってきます。周囲の方は
「これだけ反省しているのだから」と許したくなることが多いのですが、その間にも怒り、空しさや
寂しさ、見捨てられ感や自己否定感などの感情が連携することなく次々に発生してくるため、時間の経過
とともに同じことを繰り返す傾向があります。女性に多い症状といわれています。
うつやアダルトチルドレンはカウンセリングの原点ともいえるべき「不安」を要素とした症状ですが、
そのうち数パーセントが境界性パーソナリティ障害予備軍だとも言われています。例えば、「強いイライ
ラ感」は神経症的な症状で、「現実が認識できない」という症状は統合失調症的なものです。 また、アス
ペルガーなどの発達障害やアダルトチルドレンの状態とも区別がつきにくいケースも多いです。
カウンセリングの場合は、最初はおとなしくしていても、慣れるにしたがって激しくカウンセラーを攻撃
(こきおろし)してくる場合がありますので、不慣れな方は対応できずパニック状態となり、言われるま
まにクライエントの言うことを聞いてしまうケースもあるようです。
この症状は、下記の通り本来は設備の整った大病院で、服薬とカウンセリングを併用して治療すべきもの
なのですが、別頁でも述べているように「症状を本人が判断している」というのが日本の現状ですから、
間違ってカウンセリングにお越しの方が後を絶ちません。
境界性パーソナリティ障害の特徴
よく見られる症状として、主に以下のような点が挙げられます。
境界性パーソナリティ障害が発症する原因は、まだはっきりとは解明されていませんが、「生まれつき
の障害」と「環境」が考えられます。
まず「生まれつきの障害」については、アスペルガー症候群などの発達障害と同様もともと境界性パーソ
ナリティ障害になりやすい脳本体の傾向(論理的思考と感情のコントロールがともに弱い)をもって生ま
れてくる可能性です。また、「環境」にまつわる要因としては、幼児期の虐待や、母親との愛情関係がう
まく築けなかったことが関係しています。
このように、遺伝的な要因をもった人が、育った環境によって境界性パーソナリティ障害を発症すること
も多いようです。他のパーソナリティ障害(以下:ウィキペディアより抜粋)を併発しているケースや
身体的な疾病を併発している場合も見られます。
自己愛性パーソナリティ障害
境界性パーソナリティ障害では、対人関係において支持への要求を顕著にあらわすが、自己愛性パーソナ
リティ障害の場合はそれよりも巧妙な手段を用いることが多い。自身を否定された時に対する過敏性は共
通している。境界性パーソナリティ障害は情緒が極端で、対人関係の安定性が低いのに対し、自己愛性パ
ーソナリティ障害はより安定し持続した関係を持つことができ、尊大であり自己評価も高い。対象接近衝
動、見捨てられ抑うつ、行動化、対人操作の有無が鑑別における指標となる。
反社会性パーソナリティ障害
境界性パーソナリティ障害が反社会的行動をとった場合は恥や呵責、不安を感じることが多い。一方、反
社会性パーソナリティ障害の人が後悔する場合は、自分自身にもたらされた結果においてのみであり、不
安も感じない。
スキゾイドパーソナリティ障害
境界性パーソナリティ障害の感情の平坦さは抑うつとともに現れる状態様であるが、スキゾイドパーソナ
リティ障害の感情の平坦さは性格的なもので恒常性がある。薬物の乱用率も低い。
演技性パーソナリティ障害
演技性パーソナリティ障害の方が、全体的な機能水準が高く、対人関係や自己像の安定性が高い。自己破
壊的な行為はあまりない
境界性パーソナリティ障害の改善(治療)
カウンセリング単独では対応できないため、簡単に記しておきます。
「気分の落ち込み・強い不安感・怒りの感情・冷静でいられない」などの症状に対しては、 抗うつ剤や抗
不安薬などの薬を用いて治療します。それと並行してカウンセリングや 行動療法で根気よく治療して行き
ます。
一番大切なことは、本人の「治りたい・治したい」という気持ちが高くない点です。もともと他罰的傾向
が強いため、治療に対しても意欲的でない方が多いようです。医師や心理士を信頼し「治りたい・治した
い」気持ちを忘れずに対処できるかが重要になります。治療の途中で「怒り」を発しドクター・ショッピ
ングやカウンセラー・ショッピングを繰り返すのもこのタイプが多いようです。
ご家族の関わり方
以上ご説明させていただいたように、境界性パーソナリティ障害をもつ人は自分に不安や恐怖を抱えてい
ますが、それ以上に周囲の人々を振り回し、破壊する傾向があります。どれだけ自分を愛してくれている
かという「試し行動(テスティング)」などは、それがかなり強い点において、特にご家族の方にとって
大変な問題になります。
関わりを一人で抱え込まず、専門家などに相談するとともに、複数のご家族で対応することをお勧めしま
す。難しいことですが、自分に無理のない範囲にとどめておくこともポイントです。ひとりで対応して、
対応者ご自身の精神が破壊されることのないよう十分ご注意ください。