脳とコミュニケーションについて
山手心理相談室では、まず「右脳」と「左脳」のコミュニケーションについて考えます。下記のように脳の働きとコミュニケーション、どちらかが弱い場合にはある特定の症状が発生します。また、脳の働きに密接に絡むのが「前頭葉」です。ここでは、脳の働きを3つに分けて説明します。なお、前頭葉や左脳が弱い場合は、途中で意味が分からなくなりますから、理解できる方と一緒にお読みください。また、少しでもわかりやすくするために、機能を簡略化していますのでご了解をお願いします。
右脳と左脳・機能の違い
山手心理相談室では、初回面談時にまず「右脳」「左脳」という一般的によく使われる言葉でこころの問題を説明させていただきます。
では「右脳」「左脳」はどのように違うのでしょうか?。詳細についてはまだ判明していない部分も多いのですが、基本的にはその名の通り、私たちの脳(大脳)は左右対称に分かれています。 見た目はそっくりですが、働きが大きく違うことから区別されます。 右脳と左脳はどのように使い分けられているのでしょうか。 左脳には、言語機能を司る特有の「ブローカ野」「ウェルニッケ野」という言語野が存在することが分かっています。 ということは、日頃している勉強は主に「左脳」で行われているといえます。 なぜなら、どの教科の学習であれ、日本人なら日本語という”言語”を駆使するからです。 とはいえ、学習に左脳だけを使っているわけではありません。 左脳に対し、右脳は主に「非言語」の働きをもつとされます。
よく勘違いされるのですが、
★「右脳が強い」から歌と絵が達者でスポーツもできる
★「左脳が強い」からすべての勉強が得意だ
というわけではありません。それぞれの分野で得手不得手が存在することを前提としてください。
左脳とコミュニケーション
左脳にある言語野が弱い場合に多いコミュ障が、話す言葉数は多く、また流暢に話すのですが、意味のある言葉が少なくなります(そのため、何を言っているのか分からなくなります)。事故などで左脳機能が侵害されている場合には、ウェルニッケ失語ヤブローカ失語といいます。発達障害などでも同様の症状が出るのですが、自分が話した内容を理解しにくいので、ついさっき話したことと、今話していることが正反対だったりします。仮に右脳だけで「考える」とすれば、相手の話す意味は分かりませんし、言葉も「わあ!」「きゃあ!」という具合に、単語の羅列になっていまいます。
右脳とコミュニケーション
では、左脳が健全なら言葉が普通に話せるのかというと、そうでもありません
。 右脳は主に非言語の働きをもつとされます。
たとえば、数学・音楽・美術など、イマジネーション(想像)が重要な教科では、「空間認知」や「イメージ」を司る「右脳」の働きが大切になります。 また、国語や英語は「言語」に特化した分野ですが、物語や小説で風景が事細かに描写されているシーンを具体的に思い浮かべる際には、右脳の働きが必要になります。
世界史年表を思い出したり、地理で地図を描いたりする作業でも、やはり右脳が活躍します。 「左脳=言語」だけに、右脳は理数系科目だけに関わりが深そうに思えますが、人文系科目でも右脳の働きはパフォーマンスの向上にたいへん役立つのです。仮に左脳だけで考えるとすれば、たとえば次のような画像を見ても「わかりません」となります。画像のイメージを言葉に変換できないのですね。
何の写真でしょうか。 |
右脳は主に「非言語」の働きをもつとされます。 たとえば、数学・音楽・美術など、イマジネーション(想像)が重要な教科では、「空間認知」や「イメージ」を司る「右脳」の働きが大切になります。
また、国語や英語は「言語」に特化した分野ですが、物語や小説で風景が事細かに描写されているシーンを具体的に思い浮かべる際には、右脳の働きが必要になります。また、言語野がある左脳の障害の場合、会話ができない「失語症」などの言語障害や、文字が読めなくなる「失読症」などが起こります。
前頭葉の働き
前頭葉は、大脳半球の約1/3程度の広範な領域を占めていて、右脳・左脳双方にまたがります。(1)運動の遂行に関与する領域、(2)まわりのあらゆる情報から推理、思考し適切な行動を起こすことに関与する領域で、(3)思いを言葉にする領域、(4)眼球運動を調整する領域、などに分けられる。つまり、簡単に言うと「脳の各地から集まってきた情報を整理・統括・コントロールするという「脳の司令塔」とも呼べる機関になります。また、上記では「左脳」側に分類した「ブローカ野」は前頭葉にも属しているため、自分が発した言葉を理解する能力があります。そのため、前頭葉が弱い場合は「左脳」欄で述べたことと同様、イメージは出ても言葉にできないという現象が発生するのですが、この症状はアスペルガー症候群ととても見分けがつきニック、アスペルガー症候群の方のように「うまく感じ取れない」ではなく、「ビンビンと感じてはいるのだけど、言葉にできない」という状況になるのです。端的な例を挙げると、アスペルガー症候群の場合は「一人でも全く平気」ですが、前頭葉が弱い場合には「ひとりはイヤだけど、どう訴えたらよいのか分からない」となります。当然ですが、対応法は大きく違ってきます。